
5分でわかるビットコインと株式市場の相関
目次
結論
「株とビットコインの相関」という言葉には、少なくとも三つの選択が隠れています。何と比べるか、どのくらいの長さで見るか、価格の水準を比べるのか日々の変化率を比べるのか。この三つが変われば、同じ期間の同じ2資産でも、出てくる数字は変わります。符号まで逆になることがあります。相関は、資産が持つ性質ではなく、測り方の結果です。
3行でいうと
相関は、二つの値動きがどれだけ同じ向きに動いたかを表す数字です
「何と・どのくらいの長さで・何の相関を」測ったかで、値は変わります
同じ期間の同じ2資産でも、測り方を変えると符号が逆になることがあります
「株が下げるとビットコインも下げる」。よく聞く言い方です。
一方で「株との相関が10年ぶりの低さ」という見出しも出ています。同じ2資産の話なのに、逆のことを言っているように見えます。
どちらが正しいかを決める前に、その数字が何を測ったものかを見ておくと、「相関」という言葉をもう少し解像度高く使えるようになります。
相関とは何か
むずかしく言えば、二つの系列が同じ向きに動いた度合いを、−1から+1のあいだの数字で表したものです。かんたんに言えば、「一緒に動いたか、別々に動いたか」の目安です。
+1に近いほど同じ向き、−1に近いほど逆向き、0に近いほど関係が薄い、と読まれます。
気をつけたいのは、この数字が資産そのものの性質ではないという点です。測った期間と測り方の結果として出てきます。
「相関」と言うとき、三つを選んでいる

一つめは対象です。S&P500と比べるのか、ナスダック100と比べるのかで値は変わります。
二つめは窓の長さです。直近30日分で計算するのか、260日分で計算するのかで変わります。
三つめは、何の相関を見るかです。価格の水準どうしを比べるのか、日々の変化率どうしを比べるのか。ここが最も見落とされます。
同じ期間でも、測り方で答えが変わる
Bitwiseは2026年9月7日の週次レポートで、260日の相関が2015年以来の低さだとしています。同社はこれを、価格の水準(対数)で計算したものだと明記しています。
一方、CryptoSlateがFREDの公開データを使って行った代用計算では、同じ260観測でも日々の変化率で測るとプラスの値になりました。水準ではマイナス、変化率ではプラス。符号が逆です。
窓を変えても動きます。同じデータ・同じ計算で、30観測では約+0.14、260観測では約+0.40、500観測では約+0.13でした(いずれも2026年9月4日まで)。
過去どう動いてきたか
2020年から2021年にかけては、株式との相関が高い時期が続いたとする分析が多く出ています。0.6を超える、0.8に達するといった水準が報告されました。
理由は一つではありません。金融緩和で市場全体に資金が入ったこと、機関投資家の参加が増えたこと、同じニュースで同時に売買される場面が増えたことなどが挙げられています。
2022年以降は、値が上がった時期も下がった時期もあります。振れ幅そのものは「5分でわかるビットコインのボラティリティ」で扱っています。
使う際の注意点・限界
相関の数字は、長い期間をならした結果です。ある一日に何が起きるかを教えてくれるものではありません。
理由を教えてくれるわけでもありません。値が高い期間があったとしても、片方がもう片方を動かしたことにはなりません。資金の流れを変える要因は「5分でわかるビットコインと金利」で扱っています。
数字を見るときは、対象・窓の長さ・何の相関か・誰がどの条件で計算したか。この四つを一緒に確認します。どれかが違えば、別の数字です。
今なぜ注目されているのか
売買される場所が近づきました。ETF経由で、株式と同じ口座・同じ時間帯に取引される割合が増えています。資金の入口は「5分でわかるETFフロー」で扱っています。
測る道具も増えました。同じ時期に「相関が10年ぶりの低さ」という見出しと「変化率で見ると違う姿が見える」という指摘が並ぶのは、測り方の違いが表に出てきたためです。
記録の時刻もそろっていません。FREDのデータでは、ビットコインの値は米西部時間の17時、S&P500は米東部市場の引けに記録されています。同じ日付でも、同じ瞬間ではありません。ビットコイン側の記録を1日ずらして計算すると、260観測の値は大きく動きます。
まとめ
相関は、二つの値動きが同じ向きに動いた度合いを表す数字です
対象・窓の長さ・何の相関か、の三つで値は変わります
同じ期間の同じ2資産でも、水準で測るか変化率で測るかで符号が逆になることがあります
数字を見るときは、誰がどの条件で計算したかまで確認します
この三つが見えると、「相関が下がった」「株と連動している」という言葉を、もう少し解像度高く使えるようになります。
次のステップ:市場の測り方から、資金を動かす主体へ。機関投資家の側の論理を見ていきます。
よくある質問
Q. 相関の数字は、どこで確認できますか? A. 運用会社の週次レポートやオンチェーン分析サービスが公表しています。公開されている価格データから自分で計算することもできます。どの価格系列を使うかで値が変わるため、出典と計算条件が書かれているものを選びます。
Q. 「相関が高い」と言えるのは、どのくらいの値からですか? A. 共通の基準はありません。目安を示す分析はありますが、窓の長さによって同じ関係でも違う値が出ます。ひとつの値だけで判定せず、複数の窓で見るという扱われ方をします。
Q. 株以外との組み合わせでも、同じことが起きますか? A. 相関は二つの系列から計算する数字なので、対象を変えれば同じ問題が起きます。金や為替と比べる場合も、期間と計算方法をそろえないと比較になりません。
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本記事はビットコインに関する教育・情報提供を目的としており、投資の助言・勧誘を意図するものではありません。



