
5分でわかるビットコインのサイクル論
結論
ビットコインの「4年周期」は、半減期の間隔と、その前後で繰り返してきた価格の動きを重ねた見方です。法則として確かめられたものではありません。高値がついたのは2013年、2017年、2021年、2025年の4回で、間隔として数えられるのは3つだけです。ETF経由の資金が加わったあとの相場については、性質が変わったという議論と、枠組みは崩れていないという議論があります。
3行でいうと
半減期がほぼ4年おきに来ることと、その前後で繰り返してきた価格の動きを重ねた見方です
2024年以降はETF経由の資金が加わり、周期の性質が変わったという議論があります
ただし間隔として数えられる事例は3つしかなく、統計として確かめられる段階にはありません
2025年10月の高値から、そろそろ1年が過ぎます。相場の解説では「もう終わった」「まだ途中だ」という言い方が並びます。
対立して見えて、どちらも同じ前提に立っています。成り立ちが分かると、中身も見えてきます。
この記事を読み終えると、周期論がどこまで確かめられた話なのかを、自分で切り分けられるようになります。
サイクル論とは何か
むずかしく言えば、半減期の間隔と、その前後で繰り返してきた価格の上昇・下落のパターンを重ねた見方です。かんたんに言えば、「半減期のたびに似たことが起きてきた」という語りです。
半減期の仕組みは「5分でわかる半減期」で扱っています。ここで見るのは、その間隔に価格の話を重ねてよいのか、という点です。
なぜ生まれたのか
半減期は2012年11月、2016年7月、2020年5月、2024年4月と、ほぼ4年おきに起きています。ここは設計で決まっている部分です。
そこへ、価格の高値が2013年、2017年、2021年、2025年と並びました。両者が重なったことで、これらを結ぶ語り方が定着しました。
どう数えるのか

高値どうしの間隔は、2013年終盤から2017年12月まで約48か月。そこから2021年11月まで約47か月、2025年10月まで約47か月と、近い値です。
気をつけたいのは、この間隔が3つしかないことです。半減期は4回起きていますが、繰り返しの性質を確かめる材料は3回分です。
半減期には時刻表があります。価格の高値に時刻表があるかどうかは、まだ分かりません。似た間隔が続いていることは確認できますが、3つの間隔だけで将来も同じ周期が続くと確かめることはできません。
過去どう機能したか
高値の水準は、約1,150ドル、約1万9,700ドル、約6万9,000ドル、2025年10月6日の約12万6,000ドルでした。
高値どうしの倍率は、約17倍、約3.5倍、約1.8倍と小さくなっています。高値をつけた時期も、半減期のちょうど1年後の回と、1年半ほど空いた回に分かれます。
2014〜2015年、2018年、2022年はいずれも、高値から8割前後下落しました。2026年8月には、高値から約5割下落する局面もありました。
間隔が似ていても、中身の大きさは回ごとに違っています。
使う際の注意点・限界
まず、事例の少なさです。3つの間隔から似た傾向は見えますが、安定した周期として確かめるには十分ではありません。
新規発行量が既存の供給量に占める割合も、回を追うごとに小さくなっています。いまは1日およそ450BTC、年では約0.8%です。2020年の半減期の直後は年1.8%程度、2016年は4%台でした。この割合が小さくなっている以上、供給面では4回の半減期を同じ強さの出来事として並べにくくなります。
振れ幅そのものは「5分でわかるビットコインのボラティリティ」で扱っています。
周期論は、当たる・当たらないで判定するより、そのニュースがどの前提で話しているかを見分ける材料として使うほうが無理がありません。
今なぜ注目されているのか
2024年1月に米国で現物ETFが承認され、資金の入口が変わりました。運用会社が公表する日次の資金流出入も、値動きを読む材料です。
周期の性質が変わったとする見方は、運用会社の側からも出ています。Bitwise社のCEOは、4年周期の理論は成り立たないと述べています。一方で、枠組みは崩れていないとする見方もあります。アナリストのBenjamin Cowen氏は、今回の高値が過去2回と同じ日数の範囲に収まったと指摘します。2026年内の底を基本シナリオに置いています。アナリストのWilly Woo氏は、新規発行が年1%を下回った点を挙げます。6〜8年の周期へ移りつつあるという見方です(2026年9月)。
資金の出入りは「5分でわかるETFフロー」で扱っています。
まとめ
「4年周期」は、半減期の間隔と、その前後の価格の動きを重ねた見方です
高値は2013年・2017年・2021年・2025年の4回で、間隔として数えられるのは3つです
新規発行量が供給全体に占める割合も、いまは年0.8%程度です
ETF以降の変化をどう見るかで、見解は分かれています
この見方の成り立ちが分かると、「サイクルの終わり」「まだ途中」という言葉がどの前提に立つのかを切り分けられます。
次のステップ:市場の時間軸から国の財政へ。政府債務とビットコインが並べて語られる背景を見ていきます。
よくある質問
Q. いまサイクルのどこにいるかは、どのデータで確かめられますか?
A. 半減期からの経過月数、過去の高値からの下落率、実現価格系の指標などが手がかりとして使われます。ただしどれも位置を確定するものではなく、期間の取り方によって見え方が変わります。
Q. 次の半減期はいつ頃ですか?
A. ブロック番号1,050,000付近で、報酬が3.125BTCから1.5625BTCへ移ります。時期は2028年4月ごろと見込まれていますが、ブロックが積み上がるペースによって前後します。
Q. 円建てで見ると、サイクルの見え方は変わりますか?
A. 円建ての価格には為替の値動きも入るため、高値をつけた日がドル建てとずれることがあります。2025年はドル建てが10月6日、円建てが10月7日でした。この分解は「5分でわかるビットコインと円安・為替」で扱っています。
シリーズ内の関連記事
5分でわかる半減期:周期論の起点にある仕組み
5分でわかるビットコインのボラティリティ:振れ幅の側から見た値動き
5分でわかるETFフロー:2024年以降に加わった資金の入口
前回:5分でわかるステーブルコインの規制
次回:5分でわかるビットコインと国家債務・財政
本記事はビットコインに関する教育・情報提供を目的としており、投資の助言・勧誘を意図するものではありません。



