
5分でわかるステーブルコインの規制
結論
日本の制度では、ステーブルコインとビットコインは異なる区分で扱われています。法定通貨に連動するステーブルコインの一部は資金決済法上の「電子決済手段」にあたり、発行できる主体も制度で定められています。ビットコインを含む暗号資産については、2026年7月に成立した改正法により、規制の中心を金融商品取引法(金商法)へ移すことが決まりました。本格的な施行はこれからです。
なお本記事では、法定通貨に連動し、資金決済法上の「電子決済手段」に該当するステーブルコインを中心に扱います。
3行でいうと
法定通貨に連動するステーブルコインの一部は資金決済法上の「電子決済手段」にあたり、発行できるのは銀行・資金移動業者・信託会社です
ビットコインを含む暗号資産は、2026年7月成立の改正法で規制の中心が金商法へ移ることが決まりました(本格施行はこれから)
ただし区分が分かれていることは、どちらが安全かを示すものではありません
取引所のアプリを開くと、ビットコインとステーブルコインが同じ一覧に並んでいます。ニュースでも「暗号資産」とまとめて呼ばれます。
法律の側から見ると、この二つは同じ棚にありません。制度が見ているのは、値動きの大きさでも技術の新しさでもありません。
「ステーブルコインの規制」という言葉を、もう少し解像度高く使えるようになります。
電子決済手段とは何か
むずかしく言えば、資金決済法が定める、法定通貨の価値と連動し、不特定の相手への支払いに使えるデジタルな財産的価値です。かんたんに言えば、法律が「お金を送る手段」と位置づけたステーブルコインです。
制度がまず見るのは、その価値を誰が発行し、誰が額面で払い戻すのかという点です。
なぜこの区分が生まれたのか
2022年の資金決済法改正(2023年6月施行)で、この区分が設けられました。法定通貨に連動するステーブルコインのうち一定の要件を満たすものが、「電子決済手段」として制度上位置づけられています。額面どおりの払い戻しを担保するために、発行の入口が絞られました。
仕組み・誰が発行し、誰が登録するのか

電子決済手段を発行できるのは、銀行、資金移動業者、信託会社の3つです。
発行者と利用者のあいだで売買を取り次ぐ側には、電子決済手段等取引業の登録が求められます。2026年6月施行の改正資金決済法では、媒介だけを担う事業者向けに「電子決済手段・暗号資産サービス仲介業」も新設されました。
制度は、発行する側と取り次ぐ側それぞれに、必要な免許や登録を求めています。
ビットコインの側はどうか
ビットコインには発行者がいません。この点が、制度の設計にそのまま効いてきます。
金融庁の説明資料は、発行者がいる暗号資産と、そうでない暗号資産を分けています。後者の例がビットコインです。情報公表を求める相手がいないため、改正法では取り扱う暗号資産取引業者が公表する形がとられています。
供給のルールが設計で決まっている点は、「5分でわかるビットコインの希少性」で扱っています。
過去どう機能したか
2025年8月、JPYC株式会社が資金移動業者として登録され、国内で円建てのステーブルコインが発行される形が整いました。
2026年6月1日には改正資金決済法が施行されました。信託型のステーブルコインでは、裏づけ資産の運用範囲が広がっています。要求払預貯金に加え、残存期間3か月以内の日本国債・米国債や、中途解約できる定期預金でも、発行総額の50%を上限に運用できます。
2026年7月15日には、暗号資産の規制を資金決済法から金商法へ移す改正法が成立しました。施行は公布から1年以内とされています。
使う際の注意点・限界
気をつけたいのは、「規制されている」を「安全である」と読み替えてしまうことです。登録制度が課すのは事業者への要件までで、価値の保証ではありません。
制度が重視する点も異なります。電子決済手段では発行や額面での払い戻し、暗号資産では取引業者への規制や取引の公正性などに、それぞれ制度上の重点が置かれています。優劣の比較ではありません。
技術の側から両者を扱った記事に「サイドチェーンとステーブルコイン」があります。
今なぜ注目されているのか
2026年は、ステーブルコインと暗号資産をめぐる二つの大きな制度変更が続きました。
移管が施行されると、暗号資産取引業者への名称変更、情報公表の義務づけ、インサイダー取引規制の創設などが入ります。規制の全体像は「5分でわかるビットコイン規制」で整理しました。
まとめ
法定通貨に連動するステーブルコインの一部は資金決済法上の「電子決済手段」で、発行できるのは銀行・資金移動業者・信託会社です
取り次ぐ側には、電子決済手段等取引業などの登録が求められます
ビットコインを含む暗号資産は、2026年7月成立の改正法で規制の中心が金商法へ移ることが決まりました(本格施行はこれから)
制度が分ける基準の一つは、「額面で払い戻す発行者がいるかどうか」です
登録制度は事業者に要件を課すもので、価値を保証するものではありません
制度上の居場所がわかると、「暗号資産規制」というニュースが、どちらの話をしているのかを切り分けられます。
次のステップ:制度の変化から市場の時間軸へ、「4年周期」という見方の成り立ちを見ていきます。
よくある質問
Q. 自分が使っているサービスが制度の枠内かどうかは、どこで確認できますか?
A. 電子決済手段等取引業者や資金移動業者は、金融庁および各財務局が登録業者の一覧を公表しています。事業者名で照会でき、登録の種別も確認できます。
Q. 制度が金商法へ移ると、税金の扱いも変わりますか?
A. 今回の改正は業者への規制と取引の公正性に関するものです。税制は税法の側で別に議論されるため、改正の成立だけで課税関係が変わるわけではありません。
Q. ステーブルコインと、プリペイドカードや電子マネーは制度上どう違いますか?
A. 前払式支払手段は発行者の加盟店などで使うことが前提で、譲渡や払い戻しに制限があります。電子決済手段は、不特定の相手への支払いと額面での払い戻しが前提になっている点が異なります。
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5分でわかるビットコイン規制:規制の全体像
5分でわかるビットコインの希少性:発行者がいない資産の供給ルール
5分でわかるビットコインと円安・為替:法定通貨という物差しの側
前回:5分でわかるビットコインと円安・為替
次回:5分でわかるビットコインのサイクル論
本記事はビットコインに関する教育・情報提供を目的としており、投資の助言・勧誘を意図するものではありません。



