
ビットコインの「主役」は入れ替わったか?LTH/STH 内訳の読み方
【連載:ビットコイン・データ活用術 第8回】

ビットコインの価格は、誰が売り、誰が買うかという「需給のバランス」で決まります。オンチェーン分析において、この需給を最もマクロな視点で表すのが、「長期保有者(LTH)」と「短期保有者(STH)」の保有内訳です。
相場のステージが変わるとき、コインは必ず「あるグループ」から「別のグループ」へと受け渡されます。この「主役の交代」を可視化する指標を学んでいきましょう。
1. LTHとSTHの復習
まず、これまでの連載でも登場した2つのグループを、改めて整理しましょう。
LTH(Long-Term Holder):長期保有者
コインを取得してから155日(約5ヶ月)以上動かしていない層。いわゆる「ガチホ勢」であり、目先の価格変動では売らない「強い手(Strong Hands)」とされます。
STH(Short-Term Holder):短期保有者
コインを取得してから155日以内の層。最近参入した投資家やトレーダーが多く、価格変動に敏感に反応する「弱い手(Weak Hands)」とされます。
2. 相場サイクルで繰り返される「バトンタッチ」
ビットコインの歴史では、LTHとSTHの間でコインが移動する、決まったパターンが繰り返されています。

3. 「色の濃淡」が示す含み損益の状態
Bitcoin.jpのチャートには、もう一つ重要な情報が含まれています。それは各グループの中の「含み損益」の状態です。
薄い色(水色・薄赤):含み益の状態(現在の価格が取得原価を上回っている)
濃い色(青・濃赤):含み損の状態(現在の価格が取得原価を下回っている)
例えば、価格が急落すると、それまで利益だった短期勢のエリアが「薄赤」から「濃赤」に変わり、含み益から含み損へ移行していく様子が視覚的にわかります。
4. 実際にチャートを「操作」してみよう!
Bitcoin.jpのチャートでは、供給の「主導権」がどこにあるかを一目で確認できます。
「供給の構成比」に注目する
チャート右側の目盛り(供給比率 %)を見てください。
青色の合計ライン:長期保有者の保有割合。歴史的に、これが75〜80%を超えてくると「供給が絞られた(底堅い)傾向にある」と言えます。
赤色の合計ライン:短期保有者の保有割合。これが20%を超え、急角度で上昇しているときは、市場に「投機的な熱量」が高まっているサインです。
5. 【実践】2026年4月、市場の主導権はどちらに?
チャート右上の「Zoom(Last 6-Month)」から、直近半年のダイナミックな勢力図の変化を読み解きましょう。

現状の観察:
直近6ヶ月のズームで見ると、4月初旬を境に青色の合計ラインが反転上昇に転じています。それと引き換えに、赤色のエリア(短期保有者)が徐々に収縮しているのがわかります。
データの解釈:
前回第7回で見た「短期勢の激しい損切り」という痛みを伴うドラマの裏側で、ビットコインは「パニックになった人の手」から「動じない人の手(長期保有者)」へと受け渡された動きが確認できます。
青いラインが明確に上を向き始めた事実は、市場の主導権が再び長期保有者側へ傾きつつあることを示しており、オンチェーン上では「蓄積(アキュムレーション)が進行している可能性」が示唆されます。
6. ⚠️ この指標を活用する際の注意点
「155日」というタイムラグ:ある投資家が「売らずに耐えよう」と決めてから、データ上でLTH(青)としてカウントされるまでには155日の待機期間が必要です。そのため、現在の青色の増加は、実は数ヶ月前の保有行動が反映された結果である点に注意が必要です。
ETF(上場投資信託)の影響:2024年以降のETF参入により、機関投資家による「長期保有」の比率が過去のサイクルとは異なる基準で底上げされている可能性があります。複数の指標と併用し、多角的に判断するのが賢明です。
7. おわりに
LTH/STH 内訳は、ビットコインという巨大な劇場の「客層」を映し出す鏡です。
このように、短期的な「ノイズ(価格変動)」から離れ、マクロな「構造(保有者構成)」を定期的に確認することで、冷静な投資判断を支える視点が養われます。
次回予告: 第9回は、ビットコインの「年齢」を色鮮やかなグラフで可視化する「HODLウェーブ」を解説します。市場にあるコインの「熟成度」から、相場の天井と底をさらに直感的に読み解く方法を学びましょう。お楽しみに!
💡 編集後記
「クジラ(大口)」の動きばかりが注目されがちですが、実はこの「保有期間」による分類こそが、相場の本質的な強さを教えてくれます。今、あなたが持っているビットコインも、155日が経過すれば「青色」のデータの一部となり、市場を支える土台になります。オンチェーンデータを見ると、自分の投資も大きな歴史の一部だと実感できますね。

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