
5分でわかるMVRV|「市場価格」と「実現価格」のズレから相場の温度感を読む
3行でいうと
MVRVは「市場価格」と「実現価格」を比べて、いまの価格水準を測る指標です。
過熱感や割安感を見る際の手がかりとして広く使われています。
ただし単独で相場を予測できるわけではありません。
ビットコインのニュースを追っていると、「MVRVが高い」「MVRVが1を割った」といった表現を目にすることがあります。 価格チャートなら見慣れていても、この指標が何を測っているのかは分かりにくいものです。 名前だけが先に広まり、中身は置いていかれがちな言葉でもあります。 この記事を読み終えると、「MVRV」という言葉を、もう少し解像度高く使えるようになります。
MVRVとは何か
むずかしく言えば、ビットコインの時価総額を「実現時価総額」で割った比率です。 かんたんに言えば、「いまの価格」と「保有者が実際に買ったときの平均価格」を比べたものです。 この2つがどれくらい離れているかで、市場全体の損益のかたよりを見ようとします。
なぜ生まれたのか
ふつうの時価総額は、すべてのコインを「現在の価格」で評価します。 しかし実際には、コインごとに最後に動いた価格はバラバラです。 そこで、各コインを「最後に動いたときの価格」で評価し直す考え方が登場しました。これが実現時価総額です。 この発想によって、「ビットコイン保有者全体が今どれくらい含み益・含み損を抱えているか」を推し量れるようになりました。
仕組み・どう計算されるか
計算の入口は2つの価格です。市場価格は、私たちが取引所で見ているいつもの価格です。実現価格は、各コインが最後に動いた価格を平均したもので、「市場全体の取得コストの目安」とされています。MVRVは、この市場価格を実現価格で割って求めます。値が1なら、平均的な保有者は損益ゼロ付近にいる、という見方になります。
Bitcoin.jpのチャートでは、この比率を統計的にならした「MVRV Zスコア」で表示しています。規模が違う過去のサイクルとも、同じ物差しで比べられる形です。素の比率の1が、Zスコアではおおよそ0に対応し、過熱に向かうとプラス、冷え込むとマイナスへ動きます。

チャートの読み方
このチャートは3本の線で読みます。黒がビットコイン価格、紫が実現価格、オレンジがMVRV Zスコアです。
価格(黒)が実現価格(紫)から上に大きく離れるほど、Zスコアはプラス方向へ伸びます。過熱の手がかりとされ、実現価格から上下に引かれた標準偏差(σ)の点線が水準の目安になります。
逆に価格が実現価格に近づく、または下回ると、Zスコアは0を割ってマイナス圏に入ります。悲観が強い局面の目安と解釈されることが多いです。ただし「この水準なら必ずこうなる」と言えるものではない、という点には注意が必要です。
過去どう機能したか
過去には、市場が極端に楽観的になった局面でZスコアが大きく上昇し、悲観が強まった局面でマイナス圏へ沈む傾向が見られました。振り返ると、2017年末の高値圏ではZスコアが2前後まで上昇し、その後の調整局面で0を割り込んだと報告されています。
2021年のサイクルでも、価格のピーク前後で高い水準が記録されました。一方、2018〜2019年や2022年の下落局面では、Zスコアがマイナス圏へ沈む時期が確認されています。
こうした動きから、過去の極端な局面を後から振り返る材料として参照されてきました。
使う際の注意点・限界
MVRVはあくまで過去の動きを整理した指標であり、未来を保証するものではありません。 「MVRVが低いから買い」「高いから売り」といった単純な読み替えは、市場環境を見落とすことにつながります。 実現価格の計算方法やデータの取り方によって数値が変わるため、出典の違いにも気を配る必要があります。長期保有者と短期保有者を分けて見るべきだ、という指摘もあります。
数字の上下だけでなく、その背景にある市場の流れと合わせて眺めることが大切です。
今なぜ注目されているのか
ひとつは、現物ETFを通じて新しい買い手が増えると、市場全体の平均取得価格(実現価格)も少しずつ変化していく点です。 もうひとつは、価格が大きく動く局面ほど、「いまは過熱なのか」を測る手がかりとしてMVRVが引用されやすいことです。 そしてBitcoin.jp Dataでも、市場価格と実現価格を並べて確認でき、ニュースで見た数字を自分の目で照らし合わせられます。
まとめ
MVRVは「市場価格」と「実現価格」を比べる指標です。
素の比率では1、Bitcoin.jpのZスコアでは0を基準に、含み益・含み損のかたよりを見る手がかりになります。
過去サイクルでは極端な局面で高低が記録されてきました。
ただし単独で相場を予測できるわけではありません。
MVRVは価格そのものを見る指標ではなく、価格と保有者の取得コストの関係を見る指標です。この指標を理解すると、ニュースで見かける「過熱」「割安感」という言葉の前提を、自分で確かめられるようになります。
次のステップ:実際のチャートで、市場価格と実現価格の距離を見比べてみましょう。
関連データ・チャート
[Bitcoin.jp Data:MVRV比率Zスコア]
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前回は「5分でわかるビットコインの希少性」で、なぜ2100万枚なのかという供給の話を扱いました。今回はその供給に対して、市場がどんな価格をつけているかという需要側の見方を加えています。
本記事はビットコインに関する教育・情報提供を目的としており、投資の助言・勧誘を意図するものではありません。

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