ビットコイン「短期勢」の心理を読み解く:STH-MVRVの活用術

ビットコイン「短期勢」の心理を読み解く:STH-MVRVの活用術

Bitcoin Japan
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【連載:ビットコイン・データ活用術 第6回】

短期保有者MVRV指標の全体像。 保有期間が約5ヶ月(155日)以内の投資家の平均コストと、市場価格の乖離を可視化しています。

これまでの連載では、ビットコイン市場「全体」の健康状態を見てきました。しかし、市場には大きく分けて2種類のプレイヤーがいます。数年以上じっと持ち続ける「長期保有者」と、最近参入したばかりの「短期保有者」です。

相場の波に対して最も早く反応するのは、価格変動に敏感な短期保有者たち。今回は、彼らの損益状況をピンポイントで映し出す「STH-MVRV」を解説します。

1. STH-MVRVって何?

STH(Short-Term Holder)とは、「最後にコインを動かしてから155日(約5ヶ月)以内」の投資家のことを指します。この層は、価格変動に対して敏感に反応しやすく、トレンドの勢いやパニックの引き金になりやすい層です。

このSTHたちの「時価総額」を「取得コスト(実現時価総額)」で割ったものが、STH-MVRVです。

  • 数値が1.0より高い:短期勢の多くが「含み益」の状態。

  • 数値が1.0より低い:短期勢の多くが「含み損」の状態。

2. 数値が示す“短期勢の心理”

チャートの「1.0」というラインを境界線として、短期投資家の心理を読み解きましょう。

数値が示す「短期勢の心理状態」一覧。 1.0の損益分岐点を境界に、市場参加者が取りやすい行動の傾向を整理したリファレンス表です。

3. なぜ「1.0」が重要なのか?

STH-MVRVの「1.0」は、短期保有者たちの平均取得コストを意味します。

強気相場(上昇トレンド)では、価格が調整されても、この「1.0」付近まで来ると「自分の買った価格まで戻ったから買い増そう」あるいは「コスト付近なので売る必要はない」という心理が働き、価格を支える強力な「サポート(下支え)」として機能することが多くあります。

逆に、この「1.0」を割り込んでブルーのゾーンに入ると、短期勢が「これ以上の損失を避けたい」と投げ売り(パニック売り)を始め、結果として市場の需給が整理され、底入れの兆候として観測されることがあります。

4. 実際にチャートを「操作」してみよう!

Bitcoin.jpのチャートでは、短期勢がどれほど「極端な状態」にあるかを補助線で確認できます。

歴史的な過熱と冷え込みをチェックする

画面上部の凡例から、以下の点線に注目してください。

  • 赤い点線(+1.0σ):短期勢の利益が大きく膨らんだ状態。利益確定売りに注意が必要な水準。

  • 青い点線(-1.0σ):短期勢の含み損が大きく、歴史的な底打ち圏でよく見られる水準。

2026年4月現在のSTH-MVRV。 短期勢が平均コスト(1.0)に対してどの位置にいるかを確認してみましょう。

5. 【実践】2026年4月、短期勢は今どう感じている?

最新のチャート(2026年4月21日現在)から、現在の短期投資家の収益状況を確認してみましょう。

現状の観察:

現在、オレンジ色の線は「1.0」を下回り、ブルーの領域(0.8〜0.9付近)を推移しています。

データの解釈:

これは、直近5ヶ月以内に参入した投資家の多くが「含み損」を抱えていることを示しています。かつての強気相場で「1.0」が強力なサポートとして機能していた時期と比較すると、現在はポジションの調整が進み、次の土台を作っている局面であると解釈することもできます。歴史的に見れば、短期勢がこれほど苦しんでいる時期は、需給の調整プロセスの一環として捉えられることが多いのです。

6. ⚠️ STH-MVRVを活用する際の注意点

  • 長期保有者の動きも見る:短期勢が含み損であっても、長期保有者が揺るがず持ち続けている場合は、相場の底堅さが維持されやすくなります。

  • 単独で判断しない:これまで学んだ指標と組み合わせることで、より精度の高い状況判断が可能になります。

7. おわりに

STH-MVRVは、市場に新しく入ってきた参加者がいま「笑っているのか、それとも耐えているのか」を教えてくれる鏡です。

  1. 市場全体のMVRVで大きなサイクルの位置を知る

  2. STH-MVRVで直近の参加者の心理的な限界点を探る

この二つのレイヤーで相場を見ることで、目先の変動に翻弄されず、今起きていることの「本質」を見極める視点が養われます。

次回予告:

第7回は、短期勢が「実際に利益(または損失)を確定させたのか」という具体的な売り行動を可視化する「STH-SOPR」を解説します。お楽しみに!

💡 編集後記

「最近買った人たちが損をしている」というデータは、一見ネガティブに聞こえるかもしれません。しかし、オンチェーン分析の世界では、そうした参加者が入れ替わることこそが、次なる上昇に向けた「健全な調整」であると捉える視点があります。数字の裏側にある「人の心」を読む。これこそがオンチェーンデータの醍醐味ですね。

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