古いクジラが動いた?「復活供給量」の読み方

古いクジラが動いた?「復活供給量」の読み方

Bitcoin Japan
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【連載:ビットコイン・データ活用術 第10回】

年齢別復活供給量の内訳(14日EMA)。 眠っていたビットコインが再び移動した量を、その「年齢(保有期間)」ごとに色分けしています。14日移動平均(EMA)で平滑化することで、日々の細かなノイズを抑え、大きなトレンドを可視化しています。

第9回では、ビットコインの保有期間を「HODLウェーブ」という地層で捉える方法を学びました。

今回注目するのは、その地層の中に眠っていたコインが、再び動き始めたタイミングをピンポイントで捉える指標、「復活供給量(Revived Supply)」です。これは、市場の「強い手(長期保有者)」の行動に変化が生じた可能性を知らせる、注目すべき観測指標のひとつです。

1. 「復活」とはどういう意味か?

オンチェーン分析における「復活(Revived)」とは、ある一定期間(通常1年以上)全く動かなかったコインが、再び別のウォレットへ送金されたことを指します。

  • 眠っているコイン:将来への信頼や長期的な保有方針を示し、市場の供給を絞る要因。

  • 復活したコイン:市場へ再流入する可能性を持つ供給の顕在化。

特に、数年も眠っていた古いコインは取得価格が極めて安いため、動いた際には市場に何らかの影響を与える「経済的な重み」を持っているケースが多く、注視すべきデータとなります。

2. なぜ「目覚め」を監視する必要があるのか?

長期間ビットコインを動かさなかった大口保有者(クジラ)や初期投資家がコインを動かす背景には、何らかの戦略的判断がある可能性が考えられます。

  • 上昇局面での変化:利益確定やポートフォリオの再配置のために、古いコインを移動させる。

  • 大きな価格変動時:市場環境の変化を受け、長年維持していたポジションに何らかの行動変化が生じる。

復活供給量のグラフに鋭い「スパイク(縦の山)」が立ったときは、長期保有者が何らかのアクションを開始したサインと読み取ることができます。

3. スパイクの「中身」を読み解く

Bitcoin.jpのこのチャートは、復活したコインが「何年前のものか」を色分けして表示しています。

  • 暖色(ピンク〜オレンジ):6ヶ月〜2年程度の、比較的新しい「長期保有者」の動き。

  • 寒色(青〜紫):5年〜10年、あるいは15年以上という「超長期保有者」の動き。

寒色のスパイクが大きく立った時は、ビットコインの黎明期から保有していた層が動いたことを意味し、市場参加者の注目度も高まります。

4. 実際にチャートを「操作」してみよう!

Bitcoin.jpのチャートでは、特定の年齢層だけを抽出して、その影響度を詳細に分析できます。

「特定の保有層」の動きにフォーカスする

画面上の凡例(レジェンド)から、例えば「5年〜7年」や「15年以上」といった非常に古いラベル以外を非表示にしてみてください。これらは初期投資家の動きを反映しており、市場参加者の行動変化を客観的に観測する大きなヒントになります。

5. 【実践】2026年5月、大規模な移動は限定的

チャート右上の「Zoom(Last 6-Month)」から、直近半年の推移を読み解きましょう。

直近6ヶ月の復活供給量。 2025年末から2026年初頭にかけて見られた活発な移動が落ち着き、足元では低い水準で推移していることが確認できます。

現状の観察:

直近6ヶ月のズームで見ると、2026年に入ってから復活供給量の山が段階的に小さくなり、現在はここ半年でも低い水準帯にあります。14日EMA(移動平均)のラインも右肩下がりで推移しており、突発的なスパイク(急増)も発生していません。

データの解釈:

これは、前回第9回のHODLウェーブで確認した「長期保有層の安定」を裏付けるデータと言えます。2025年末の価格変動時には一部の古いコインが動きましたが、現時点では、大規模な長期保有コインの移動は限定的な状態にあります。

古いクジラが大規模に動き出していない事実は、現在の市場において、過去の過熱期のような急激な供給増が起きている兆候は見られない、と客観的に解釈することができます。

6. おわりに

復活供給量は、市場に潜む長期保有者の動向を教えてくれる指標です。

  1. HODLウェーブで「地層」の厚さを確認し、

  2. 復活供給量でその地層からコインが飛び出していないかを監視する。

このセットで分析することで、マクロな保有構造から、個別の行動変化の兆しまでをカバーできます。

次回予告:

第11回は、これまでの「供給(保有者)」の話から少し視点を変えて、市場の「熱量」をより短期的に測る「ファンディングレート(資金調達率)」を解説します。先物市場のデータから、投資家の心理状態を見分ける方法を学びましょう。お楽しみに!

💡 編集後記

復活供給量に突然大きなスパイクが立った時の緊張感は、オンチェーン分析ならではの体験です。「市場のどこかで、何年も眠っていたコインが動き出した」という事実を、自分の手元のチャートで確認できる。これこそが、ビットコインという開かれた資産を追いかける醍醐味ですね。

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